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平成29年6月

[2017年6月30日]

町長ブログ

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平成29年6月29日 子どもを育てるということ

 我々が所属している町村会から、毎年、県や国に要望書を提出していますが、今年度、新たに「就学前保育・教育の無償化」について要望していくことを提案させていただきました。

  本町では、早くから、今の認定こども園の原型となる、幼保一体施設を整備した取り組みを進めてきました。縦割り行政の弊害をなくすため、すべてを教育委員会の管轄としており、これにより、本町の特色である「16年一貫教育」に取り組むことができています。早くから、中学校卒業までの医療費の無料化や保育園・幼稚園での待機児童0に取り組んでおり、近年では、保育、教育の質を高めるため、保育士の正規率70%を目指すとともに、就学前の保護者の負担軽減に向けて、5歳児幼稚園保育料の無償化にも取り組んでいます。そのほか、支援員や補助員といった必要な人員を配置して、子どもたちの育つ環境を整えていますが、これらはすべて町の単独予算で賄っています。しかし、本町のような小さな町ができることには限界があり、また、財政が厳しくなっている昨今では、これ以上の投資は難しくなってきています。

  本来、子どもを育てるということは国が責任を持ってやるべきことであると考えますが、日本は、先進国の中で、最も子どもにお金をかけない最悪の国となっています。国がかける公的教育費では、OECD加盟国の中で、トップのデンマーク(8.6%)の4割(日本は3.5%)、子育て支援予算では、同トップのイギリス(3.8%)の3割にも満ず、OECD平均値(2.3%)の半分もない(日本は1.0%)状況です(比率はいずれも対GDP比)。さらに悪いことには、日本の文教予算は平成10年(5兆5千億円)から平成25年(4兆2千億円)の15年間で、20%も減っています。

  こんな状況の中で、子どもの貧困が深刻になってきています。日本では、6人に1人の子どもが貧困の状況にあるとの報告があります。最近、離婚が増えてきていますので、ひとり親家庭でみると、貧困率は55%にもなります。日本財団の調査では、このまま子どもの貧困を放置すると、子どもたちの将来所得に43兆円の減少が見込まれ、それによる政府の収入は16兆円減少するとの試算が報告されています。

  アメリカのヘックマンというシカゴ大学教授の行なった興味深い研究報告があります。ミシガン州のペリー幼稚園で、その周辺の所得の低い層の3~4歳児数十人をランダムに2つに分け、ひとつをペリー幼稚園に入園させ、もう一方はここには入園させないことにしました。ペリー幼稚園では、入園した子どもたち6人に1人の優秀な先生を配置して、就学前まで良質な保育、教育を施し、それら2組の子どもたちを40年間という長きにわたって追跡調査を行いました。その結果、6歳時のIQ、19歳時の高校卒業率、27歳時の持ち家率、40歳時の所得は、すべて、ペリー幼稚園入園児が圧倒的に高いという結果になりました。また、40歳までに逮捕歴が高かったのは、ペリー幼稚園に入園しなかった人たちの方でした。ペリー幼稚園での取り組みによる社会収益率は7~10%に上り、4歳の子どもに100円投資すると、その子が65歳になった時6000円~3万円が社会に還元されることになるということです。

  「情動は、生まれてから5歳くらいまでに、その原型が形成される。」と考えられており、こどもの情動育成のためにも乳幼児保育・教育が重要となっています。また、就学前にしっかりとした保育・教育が施されれば、その後の問題行動は少なくなることも、前述のアメリカでの調査などからもわかってきています。

  就学前教育は「学力(認知能力)」を上げるための取り組みではなく、非認知能力を高めることになります。すなわち、忍耐力、社会性、意欲などのいわゆる「生きる力」となるもので、この能力は、人から学び獲得するものです。ひとたび学校を出れば、学力以外の能力が圧倒的に大切なのですが、こうした能力はほとんど5歳までに培われるのです。

  国は、森友学園や加計学園など、国民が見て誰もがおかしいと思うことに現をぬかすのではなく、50年100年の大計に基づいて、就学前保育・教育に力と予算を注がなければなりません。それはすなわち、その後の問題行動を未然に防ぐことになることにより、余分な予算を抑えられることになります。また、子育て環境が改善されることにより、子どもを産み、育てようとする若者層が増え、少子化に歯止めをかける有効な手立てになること間違いありません。

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