○東員町文化芸術基本条例

令和5年3月22日

条例第5号

三重県北部に位置する東員町は、中央を流れる員弁川水系の豊富な水源により肥沃な大地の恩恵を受け、稲作を中心とした美しい田園風景が広がり、豊かな水の流れ、青い空と優しい自然に包まれたまちです。

先人たちのたゆまぬ努力によって培われてきた伝統的な文化芸術は、古くから地域に根付いている町民と、新しく移り住んだ町民とのつながりを生み出しました。

ここ東員町では、伝統と歴史を誇る「猪名部神社上げ馬神事」や「六把野獅子舞」をはじめ、「東員町こども歌舞伎、東員ミュージカル、東員『日本の第九』演奏会」などの自主文化事業のほか、町民が創り出す優れた文化芸術が魅力となっています。

文化芸術は、多様性を受け入れて、つながりを生み出し、さらに新たな価値観を創り出すエネルギーです。

私たち町民は、将来にわたり心豊かに暮らすとともに、東員町が活力に満ちたまちへと成長し続けることを目指します。そのために、この文化芸術を「東員町に愛着と誇りを育む源泉」として、未来へ引き継ぎ、新たに創造し発展させていく必要があります。

その実現に向けて、東員町は文化芸術活動における自主性を尊重し、この町に関わる誰もが文化芸術を享受し創造できる環境を整備するとともに、様々な関連分野との有機的な連携を図るよう包括的に施策を推進しなければなりません。

ここに、文化芸術に関する施策についての基本理念を明らかにし、総合的かつ計画的に推進するため、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、文化芸術に関する施策に係る基本理念及び当該施策の基本となる事項を定め、町の責務並びに町民及び文化芸術活動を行う者の責務を明らかにすることにより、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって心豊かな町民生活及び東員町らしさの実現に寄与することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによります。

(1) 文化芸術 芸術、伝統芸能、生活文化、文化財その他文化芸術基本法(平成13年法律第148号。以下「法」という。)に規定するものをいいます。

(2) 文化芸術活動 文化芸術を継承し、創造し、発信し、若しくは享受し、又はこれらを保護し、若しくは支援する活動をいいます。

(3) 町民 町内に居住し、又は在勤する個人をいいます。

(4) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校、同法第134条に規定する各種学校その他これらに準ずる教育施設及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所その他これに準ずる施設であって、町内に所在するものをいいます。

(5) 文化芸術団体 文化芸術活動を行う法人その他の団体をいいます。

(6) 事業者 町内で事業又は活動をする個人又は法人その他の団体をいいます。

(基本理念)

第3条 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、次に掲げる事項を基本理念として行います。

(1) 町民、その他文化芸術活動を行う者の自主性及び創造性を十分に尊重するとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう創作環境や機会を含めて考慮すること。

(2) 町民、その他文化芸術活動を行う者が、年齢、障がいの有無、経済的な状況等にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境を整備すること。

(3) 地域に根付いて育まれてきた多様で特色ある文化芸術を保護し、研究し、継承するとともに、その歴史や風土等を反映した特色ある文化芸術の発展を図ること。

(4) 本町の文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進が図られ、広く世界へ発信されるように配慮すること。

(5) 乳幼児、児童、生徒等に対する文化芸術に関する教育の重要性に鑑み、それらを取り巻く関係者相互の連携が図られるように配慮すること。

(6) 町民、その他文化芸術活動を行う者の意見が広く反映されるよう十分に配慮すること。

(7) 文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用することが重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮すること。

(町の責務)

第4条 町は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、文化芸術に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとします。

2 町は、文化芸術に関する施策の推進のため、必要な体制の整備を講じます。

(町民の役割)

第5条 町民は、基本理念に基づき、文化芸術の担い手として、自主的かつ主体的に文化芸術活動を行うとともに、多様な文化芸術を理解し、相互に交流を深めながら助け合うものとします。

(文化芸術団体の役割)

第6条 文化芸術団体は、基本理念に基づき、地域社会を構成する一員として、自主的かつ主体的に文化芸術活動の充実に努めるとともに、文化芸術の継承、発展及び創造並びに文化芸術活動を担う人材の育成に積極的な役割を果たすよう努めるものとします。

(学校の役割)

第7条 学校は、基本理念に基づき、文化芸術に関する教育を通じて、青少年の感性を磨き、表現力を高め創造力を豊かなものにするように努めるものとします。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、基本理念に基づき、地域社会を構成する一員として、文化芸術についての関心と理解を深め、町民の文化芸術活動に参加し、及び協力する役割を果たすよう努めるものとします。

(関係者相互の連携及び協働)

第9条 町、町民、文化芸術団体、学校、事業者その他の関係者は、文化芸術に関する施策を推進するため、相互に連携を図りながら協働するよう努めるものとします。

(文化芸術推進基本計画)

第10条 町長は、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文化芸術の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定します。

2 町長は、基本計画を定めるときは、第13条に規定する東員町文化芸術推進審議会の意見を聴きます。

3 町長は、基本計画を定めたときは、これを公表します。

4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用します。

(基本施策)

第11条 町は、次に掲げる事項について文化芸術に関する基本施策を講ずるよう努めます。

(1) 町民が、自主的かつ主体的に文化芸術を鑑賞し、又は文化芸術活動を行う機会の充実に関する事項

(2) 町民が、気軽に文化芸術に親しむことができるようにするための事項

(3) 乳幼児、児童、生徒等の意欲を高め、文化芸術を通じて基本的信頼感・自己肯定感・自己有能感を育むことに関する事項

(4) 伝統的な文化芸術の保存及び継承等に関する事項

(5) 新たな文化芸術の創造に資することに関する事項

(6) 文化芸術を通じた国内外の人と地域の交流を促進することに関する事項

(7) 町民が、愛着と誇りを持つことのできる地域社会の実現を図るため、文化財等の地域資源の保存及び活用、景観の保全及び創出並びに伝統文化の継承及び発展その他必要な事項

(8) 文化芸術に関する施設の機能の充実及び活用の促進に関する事項

(9) 文化芸術に関する情報及び振興に必要な調査研究並びに収集、整理、提供及び発信に関する事項

(10) 文化芸術活動の担い手となる人材の育成及び確保に関する事項

(11) 文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携を図ることに関する事項

(財政上の処置)

第12条 町は、文化芸術に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとします。

(審議会)

第13条 法第37条の規定に基づき、東員町文化芸術推進審議会(以下「審議会」という。)を置きます。

2 審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議します。

(1) 基本計画に関する事項

(2) 前号に掲げるもののほか、文化芸術の推進に関する重要事項

3 審議会は、委員10人以内で組織します。

4 委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱し、又は任命します。

(1) 学識経験者

(2) 専門知識を有する者

(3) 文化芸術に関係する団体の代表者

(4) 公募により選出された者

(5) 町職員

(6) その他町長が必要と認める者

5 委員の任期は2年とし、再任を妨げません。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とします。

6 審議会に、会長及び副会長それぞれ1人を置き、委員の互選によりこれを選任します。

7 会長は、審議会を代表し、会務を総理します。

8 副会長は、会長を補佐し、会長に事故等あるときは、その職務を代理します。

9 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはなりません。その職を退いた後も、同様とします。

10 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めます。

この条例は、令和5年4月1日から施行します。

東員町文化芸術基本条例

令和5年3月22日 条例第5号

(令和5年4月1日施行)