町長ふれあいトークの開催記録(平成27年6月24日開催分)
町長ふれあいトーク 平成27年6月24日開催分
- とき 平成27年6月24日(水曜日)9時30分~10時30分
- ところ 保健福祉センター
- 参加者 東員町シニアクラブ連合会(33人)、町長、福祉部長、長寿福祉課長
今回の主な内容
- 日本の現状
- 東員町高齢者福祉事業の現状
- 東員町におけるこれからの高齢者施策
- 今後のまちづくりにおいて、シニアクラブに期待すること
町長トーク
日本の現状
日本の人口は、終戦から山を登り始めて、2008年、今から7年前が日本の人口のピークでした。そしてそろそろ下り始めているということですが、山を登るときは気をつけて登りますが、降りるときが一番危ないといいます。日本の人口も急激に落ちる可能性があります。
2050年には推計で9000万人くらいになるのではないかといわれています。日本政府はこれに対し1億人を維持したいと、「地方創生」という言葉で「それぞれの地域で人口減少を抑える方策を考えなさい」といってきています。
今までずっと登ってきた山の内側では何が起こっていたかというと、社会で起こることはすべて行政が面倒をみます、全部行政がやります、ということが起こっていました。昔の話になりますが、千葉県松戸市で「すぐやる課」ができて驚かれた方もみえると思います。その後、何でもやる課とか、こういった課が全国あちこちにできました。どういうことかというと、住民の皆さんが困ったら役場や市役所に言ってきてください。全部やりますよとやってきていたんです。
しかしこれは、どんどん右肩上がりに経済も人口も推移し、国民皆が忙しいから役所が引き受けますという時で、経済もそれで回っていたんです。税金もその時は増えてましたから、世の中が全部それで回っていたということです。働く人は自分の仕事を一生懸命してください、そして税金を沢山払ってください、そうしたら、少々のことは役所が引き受けますよ。このようなことがずっと行われてきたわけです。そしてバブル期という好景気な時があり、これが日本が成長した最後だと思います。人口は2008年にピークを迎え、それからずっと減ってきています。
三重県の人口の一番ピークは187万人でした。今182万人ですから、三重県だけでも5万人減っているということです。幸い東員町においては、ここ何年か横ばいです。笹尾・城山地区は人口が今減ってきていますが、神田地区を中心にミニ開発があり、若い人に入ってきていただいているため、人口的にはだいたい横ばいに推移をしております。しかし、これもいつまで続くかわかりません。日本全体が減ってきているのですから、東員町も減ってくるのだろうという予測をしなければなりません。2050年には約2万人になるであろうと予測をしています。今26,000人弱ですから、人口問題研究所の推計によると2050年は約2万人くらいになっています。そうなるとどうなるか、当然税収も減ってきますし、今まで役所が請け負ってきたものを全部請け負うことが難しくなります。お金をどこへ有効的に使うか考えなければならない時代に入ってきました。できれば、皆さんができることは自分でやっていただいて、役所、行政がバックアップしていく形になるのではないかと思っております。
一例をあげますと、東日本大震災から防災に対して、行政も住民の皆さんも神経を使っていただいております。
八幡新田や六把野新田では、黄色い布を利用して、何か災害が起こったときに、その黄色い布を玄関先にかけて避難します。これは「その家は全員逃げています」という目印になります。黄色い布がかけてあるところには人がいないということを示すのです。そうすれば、助けにいくときにその家は飛ばしていけるので手間が省けます。自分たちの力である程度まで簡素化した対応ができる工夫ですね。それが一つの自分たちでできることです。後々役所や警察などが救助にきても、黄色い布が出ているところは確認を省略できます。自分たちができることをできるだけ自分たちでやっていただければ、それだけ税金をつぎ込むことがなくなります。今後、人口が減少し税金が少なくなるわけですから、使われるお金が限られてきます。そうすると、できるだけ自分たちでやっていただくことがこれから必要になってくると思っております。これからは、人口が減っていく、高齢者が増えていくことに対して、行政が制度を設計していかなければならない時代に入ってきました。
東員町高齢者福祉事業の現状
東員町の高齢者福祉事業が今どうなっているかといいますと、だいたい二本立てになっております。
一つはこのシニアクラブ連合会を中心としたシニアクラブ活動補助事業で、高齢者の生活を豊かにする活動、生きがいづくり、健康づくり、社会奉仕などをこのシニアクラブを中心にやっていただいているのが一つです。
もう一つが、元気老人サロン事業です。これは、高齢者の皆さんが身近な地域で、いつでもだれでも気軽に参加できる場所を確保しようという事業で、これも生きがいづくりと健康増進を目的としています。
この二つの事業をやっていますが、今後は、財政状況も厳しくなってくることも含め、やらなければならないことも増えてきています。また高齢者の皆さんがこれからもっと増えてくることも含め、やらなければならないことが増えてきております。
東員町におけるこれからの高齢者施策
皆さんのお力を借りて、皆さんと話し合いをしたうえですけど、高齢者福祉事業を見直していきたいと思っております。シニアクラブ活動補助事業、これは当然進めていかなければいけないと思っております。またこれから高齢者の一人住まいや高齢者世帯が増えてきますのでその世帯を常に誰かが把握していることが、特に災害の時に大変重要になってきます。そのための地域見守り活動支援事業がいるでしょう。そして、介護されなくてもいいような状況を作っていくため、介護予防活動支援事業もあります。
そんなことから、シニアクラブ活動補助事業と元気老人サロンとを、「シニアクラブ活動補助事業」「地域見守り活動支援事業」「地域介護予防活動支援事業」といった3つの事業に分けていきたいと思っております。今、元気老人サロンが持っている役目、地域でいつでもだれでも集まれる場所であって、生きがいづくり、健康づくりは当然残し、もう少し進めた事業にして、機能を高めていきたいと思っております。
そして、今後高齢者が増えますので、「在宅介護」「在宅看護」「在宅医療」といった在宅ケアの方へシフトをしていかなければいけないのではないかと思っております。
今、介護施設、特に特養(特別養護老人施設)は100人、200人の順番待ちです。全国どこでもそうです。ほとんど入れないだろうという状況です。では、特養を増やしたらいいといわれますが、国も財政的に非常に厳しくなってきています。国の借金は、地方も含めてですが、1千兆円です。想像もつかないような借金を抱えていますので、これ以上特養を増やすということはできないと思っております。
また、最近は病院の入院の日数が非常に短くなってきています。ベッドが足りなから長いこと入院させてくれません。退院しても外来で通わなければいけないというのは大変です。こういったことが今後増えるのであれば、昔の往診のように、在宅医療をもっと増やしていくように変わっていかざるを得ないのではと思っています。
四日市の山城に「いしが在宅ケアクリニック」という医療機関があるのですが、そこは、風邪をひいたのでといっても診察してくれません。この医者は往診専門です。家に訪問して医療行為を行う専門です。こういった医者が三重県では私の知っている範囲では、名張に寺田病院があるのですが、関東圏では往診専門の医者がすごく増えてきています。なぜかというと、救急車に乗せられて、たらい回しにされる件数もすごく増えてきており、救急車でさえも受け入れてくれる病院がものすごく少なくなっているのです。病院のベッド数が足りなくなってきており、こういう往診の医者が増えてきているらしいのです。
このあたりではようやくいしが在宅ケアクリニックができましたが、ここだけですので、桑員地区は全部カバーできません。こういう往診専門の医者の拠点を桑員地区にも作っていかざるを得ないんじゃないかと思っております。これについては、いなべ市と話し合いをしています。いなべ市、桑名市と東員町を含めて話し合っていかなければいけないと思ってますが、いなべ市と東員町にはいなべ医師会、桑名市には桑名医師会がありますので、協議が必要となります。行政が皆さんの命を守れるような方策、在宅医療を進めていくような方策や仕組みを作り上げていくのが行政の役割ではないかと思っています。
課題としては、医師会を含め、広域行政の連携があります。医師会や病院とどう連携していくのか、また、いしが在宅ケアクリニックもそうですが、24時間365日対応していますので、そのような医師を確保していかなければいけないし、そのような医師はまだ少ないという課題があります。この課題を一つひとつクリアして、将来くるであろう在宅医療という時代にきちんと対応できる体制をとっていかなければならないと思っています。
もう一つ、私はこの東員町を健康長寿の町にしていきたいと思っております。
よく例に出すのが、長野県の小川村という人口3,000人ほどの村ですが、長野市から車で40~50分ほど山の方へ行ったところにあります。25~30年くらい前ですが、その村出身の人が60歳定年すぎて村に帰ってきて、60歳以上の7人の高齢者で、「小川の庄」という会社を作りました。その地域は山の中の村で何もないのですが、畑でとれたものを加工して売ることにしたのです。そこに工夫があって、そばや漬物は当然ですが、当時長野県では庶民の食べ物として定着していた「おやき」を商品化したんです。それが爆発的に売れ、そこから「おやき」というのが長野県中、そして全国で有名になっています。今、全国の道の駅などに行くと、農産物に写真や名前を出して売っていますが、これを始めたのも小川の庄が一番最初です。人があまりやっていないことを、その辺にあった材料でやったのです。今、この会社は年商8億です。会社のスローガンは「入社60歳以上、定年なし」。10年ほど前から20前後の若い人も入るようになっていますが、あとは60歳以上、80歳くらいまで働いている人がいます。そんな会社ができて、小川村に税収が落ちています。そして、その会社も儲かっています。
これは極端な例かもしれませんが、60歳過ぎてから何もないところで起業して、そしてお金を儲けている。それと同時にすごい生きがいを持って、その会社の経営をしているのがこの会社の特徴です。
自分の生きがいづくりやお金儲けのために、NPOでも会社組織でもいいのですが、自分たちのために、そして社会のためということは非常にいいことだと思うし、可能だと思うんです。これは長野県の特徴ですが、長野県はそういう活動、特に高齢者の活動がすごく多く行われています。高齢化率は高いのですが、健康長寿は長野県が日本一です。健康なお年寄りが一番多いのが長野県です。
こういったことを参考にしながら、東員町でもそういう活動をしていただける方が出てきてもいいのではないか、このようなことを参考に経済活動をしていだだけるのもいいし、農業と連携していただいてもいいです。ふれあい農園をやっている方も見えると思うのですが、自分で食べるだけ、近所に配るだけでなく、売ってもらい小遣い稼ぎをしてもらう、それをもうちょっと大規模にやってもらうのも面白いと思っております。
今後のまちづくりにおいて、シニアクラブに期待すること
先ほどお話させていただいたように経済活動や農業も含めて、健康に過ごしていただくための活動をしていただく、自分のため、地域、ご近所のために活動していただきたい。そして、地域交流事業を進めていただきたい。例としては、5月に笹尾交番跡地に憩いの広場ができましたが、この取り組みは、町として補助金を出していません。自分たちで運営して、地域の皆さんに場所を提供し、ここで見守りもやっていただいています。この活動は一つのモデルになるのではないかと思っています。
今、全町的に空き家の調査をしています。これは、空き家があるないだけでなく、その空き家をどうするのか、売るのか貸すのか壊すのかなど、持ち主の意思調査を含めています。この空き家と地域交流を絡めて、空き家の中で使えるものがあって、貸してもいい、提供してもいいという方があれば、そこを拠点に、その地域の広場を作っていただくこともあり得ます。そこで、地域の高齢の方が集まって交流や見守りもできる。そして例えば、その地域のシニアクラブの皆さんが、経営、運営していただくということもあるのではないか、と期待させていただいております。生きがいづくり、健康づくりもやっていただきながら、地域での生活支援なども行っていただきたいと思っております。
最終的には、家の中にいるのではなく、積極的に地域社会に参加いただいて、お互いに健康で過ごせるように、お互いに見守り、励ましあう、交流しあうということを、その地域、地域でやっていただければと思っております。皆さんが健康でご活躍いただくことを期待させていただきたいと思います。
質疑
参加者
元気老人サロンの見直し案について、これから将来に向かってやるのか、ある程度期限というか時期をみてされるのか、その辺もう少し詳しくお願いできますか。
長寿福祉課長
元気老人サロンの見直しにつきましては、会員さんの生きがいづくりという部分も強く、シニアクラブの活動とよく似たものもありますので、そういったことや、今後どのような高齢者施策が必要であるかということも考え、この3つの体系に分けていこうと現在考えているところであります。
元気老人サロンには、昨年度も全地区を私ども職員が回らさせていただき、今後の方向性について、意見交換させていただいたところです。私どもが課題と思っていることに対して、皆さまからいただいたご意見を、整理しながら、今年度1年間は従来通り活動を続けていただき、今年度も城山3丁目を皮切りに各地区を回らせていただきまして、この3つの方向性で整理をしていきたいとお話しさせていただきます。今年度中には整理を終え、来年度から新しい体系にしたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
町長
この見直しも2~3年前から相談をさせていただいていると思っておりますが、基本的には一番身近な地域で、できるだけ地域の皆さんに参加していただけるような体制で、進めていきたいと思っております。今年中に皆さんと協議をさせていただき、来年度から変えていきたいと思っておりますので、ご協力をいただきたいと思います。
参加者
シニアクラブで友愛訪問とかそういった内容の行事がありまして、地域見守り活動支援業に取り組むような形になっているんですが、元気老人サロンの活動も対象になるんでしょうか。
長寿福祉課長
地域見守りにつきましては、多様な方に色々な形で地域の方を見守っていただくということが必要と考えますので、色んな団体に声をかけさせていただきたいと思っております。町としましては、それをネットワークでつなぐような取り組みを進めたいと考えております。
今年度予算要求の際にシニアクラブの執行部さんの方から、地域の見守り事業について取り組まれるというご提案もいただいたところですが、私ども担当課としまして、今年度 シニアクラブさんにも入っていただいて、町の見守り体制づくりについて協議を進めてまいりたいと考えております。この見守りの活動については、シニアクラブさんにもお願いしたいと思いますし、元気老人サロンについては、整備をさせていただいた中で、こういった見守り活動に取り組んでいこうということがございましたら、見守りに参加をしていただこうと考えております。
終了
(補足)記録は要約してあります
更新日:2024年03月29日